片思いの正体は、恋じゃなくて執着だった。

振り向いてくれない人を何年も思い続けたり、一方通行なのにこの人しかいないと運命の人に仕立てたり。

実らない片思いをずっと続けている女性も多いのではないでしょうか。

ですが、もしその片思いが辛いなら、あなたの一途な思いはもしかすると「恋」じゃないのかもしれません。

片思いの正体は、執着心であることがほとんどなのです。

片思いって何?

恋というのは、多くの場合どちらかの片思いからはじまります。

お互いが同時に恋に落ちることもまれにありますが、たいていはどちらかが一方を好きになり、アプローチをして相手の気持ちを自分に向けていきます。

成功すれば、両想いになってその恋は成就するというわけです。

恋愛は、二人の思いのどちらが欠けていても成り立たないものです。

だとすれば、ずっとアプローチしているのに何年も進展がないとか、告白して振られているのに諦められないといういわゆる「片思い」の状態を、本物の「恋」と呼べるのかどうか、ちょっと怪しい気がしますよね。

一途な思いは健気さの象徴として美化されがちです。

でも、その片思いが辛いなら、何かが間違っているのかもしれません。

片思いは執着だった

恋愛をする目的は何でしょうか。

好きな相手が自分のことも好きでいてくれるという喜びを味わうことかもしれません。

お互いが支え合い、高め合えるような信頼関係を築くことでもあるでしょう。

いずれにしても、一人よりも二人でいるほうが幸せを感じられるから、恋愛関係になるのです。

いくら相手のことが好きでも、それによって幸せな感情を得られなければ「恋愛をしている」とは言えないでしょう。

健全な恋愛をしている人は、自分のことを愛してくれない異性へしがみつくような選択はしません。

なぜなら、意味がないからです。

自分の価値を下げることになるからです。

それなのに、長い片思いをしてしまう女性は、報われなくてしんどいはずなのに「この人じゃないとだめだ」とすがりついて、さらに自分を苦しめるのです。

恋愛は、相互関係です。

相手が愛してくれないのに思いを寄せ続けてしまうのは、相手にありあまるほどの魅力があるからではありません。

片思いをしている自分自身の心の持ち方に問題があるのです。

それはもはや「恋心」と呼べるものではないでしょう。

片思いをしている人は、相手に好意を寄せているのではなく、執着しているのです。
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執着の正体は?

では、執着とはいったい何でしょうか?

片思いをしている人は、何にそんなに執着しているのでしょうか?

「執着」とは、その対象となる人や物から離れられない状態のことを言います。

誰かに執着しているとき、ものごとの判断や日常の思考はすべて、相手の存在や価値観を基準として行われます。

つまり、相手の価値観や判断基準、ひいては相手自身が自分の一部になっているのです。

なぜ、相手を自分の一部とする必要があるのでしょうか。

その答えはたった一つです。

自分が満たされていないからです。

人は、自分がすでに持っているものには執着しません。

自分に足りない・欠けていると感じているものに対して執着するのです。

たとえば自分の人生に充実感がない人は、毎日がきらきらしている異性に惹かれるものです。

同じように、余裕がない人は包容力のある人を魅力的に感じます。

自分にはこれといったものがないと悩んでいる人には、突出した才能がある異性が輝いて見えます。

能力や社会的地位、容姿や長所となる性格など、とにかく自分にはなくて相手にあるものに執着していきます。

もちろん持っているものは人それぞれですから、自分にはないものを持っている相手に惹かれるからといって必ずしもそれが執着になるわけではありません。

自分自身のありのままを認められている人は、自分にないものを持っている相手へはただ「尊敬の念」を持つだけです。

執着はしません。

一方で、こんなに素晴らしい人はもう現れないからとそんな相手を苦しみながら思い続ける人は、自分に欠けているものを相手の能力や性質によって埋めようとしているのです。

だから、相手がいなくなると、つまり相手を諦めると、自分はもう二度と満たされないのではないかという不安に襲われるわけです。

執着の正体は、相手への依存です。

それは純粋な恋心ではありません。
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自分を認める

しかし、ありのままの自分を認めるというのは大変な作業でもあります。

自分自身を認められない要因は生い立ちや過去の経験、無意識のうちにある恐怖や思い込みなどに根付いていることがほとんどです。

熱中できる趣味や仕事を見つけるとか、自分のいいところを探してみるといった小手先のテクニックや方法論ではどうにもかなわないでしょう。

ありのままの自分を認めて相手への依存から抜け出すには、自分自身の闇とたたかう必要があるかもしれません。

あなたは、相手のどんなところに執着しているのでしょうか。

この人しかいないと感じる理由をあげてみてください。

相手に能力や才能があるところでしょうか?

人生を謳歌しているところ?

社会的地位?

容姿?

寛容さや知性でしょうか?

執着の対象がどんなものであっても、その多くはあなた自身の劣等感や満たされない心にもとづいています。

相手の能力に執着しているときは、自分自身の能力に自信がないのです。

こんなに素敵な容姿を持った人はもう現れないと思い込んでいる人は、自分の容姿にコンプレックスを持っています。

人生が輝いて見える相手は、あなたの毎日がつまらないことを教えてくれています。

ありのままの自分を認めるには、こうした劣等感と向き合わなければいけません。

そうしてほとんどの人は「そんなことしたくない」と感じます。

自分自身がいやだと嫌悪している部分に目を向けるのは、とても勇気のいることです。

でも、苦しい片思いから抜け出すには、問題の根源をつぶしてしまう必要があります。

「劣等感と向き合う」とは、それらをまるごと飲み込むという意味ではありません。

自分には能力がない、容姿が優れていない、人生がつまらない、と「思っている」自分を、そう「感じている」自分を、まずは認めてあげましょう。

そうするうちに「あれ、本当にそうだろうか?」と疑えるようになります。

執着を手放すには?

思い続けていればいつか伝わると信じていても、心のどこかに虚しさを抱えている人は少なくないはずです。

実らない片思いをやめて新しい恋へ進みたい。

本当はそんなふうに感じているのではないでしょうか。

執着を手放すのは簡単なことではありません。

なぜなら、執着の正体である欠落感は、自分のいままでの経験や育てられ方、トラウマやコンプレックスにもとづいているからです。

でも、あなたが手放したいと思うなら、執着を捨てるのは可能です。

自分の欠落感に正面から向き合って、「私にはこれが足りない」と感じさせる要因を解明するのです。

そのとき、他人や物など自分以外のもので埋め合わせようとしていないか確かめてみましょう。

欠落感を含めたありのままの自分自身を受け入れてあげるか、欠落感を埋めるための努力をするかの2つしか、方法はありません。

すべては自分の意思次第です。

手放したいのにできないのは、心の底では「このままでいい」、つまり「実らない片思いをしているほうが都合がいい」と思っているからではないでしょうか。

新しい恋に進んでまたがんばるより「苦しみの中にいる今の自分」に浸っているほうが楽なのかもしれません。

後悔しないなら、そのままでもいいでしょう。

でも、変わりたいと思うなら、自分を変えられるのはあなただけです。

ずっと夢と幻想のなかにいてもいいですが、自らの意思で夢の中から「今」へと一歩踏み出したとき、新しい風が吹き込んでくるのです。

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